最近抜け毛が増えたと感じたら、それは単なる季節の変わり目やストレスだけが原因ではないかもしれません。今回は、抜け毛が病気のサインである可能性を、具体的な事例を交えながら掘り下げてみましょう。私たちの体は非常にデリケートで、バランスが崩れると様々な形でSOSを発します。もし髪の毛が異常に抜け始めたら、それは内臓の不調やホルモンバランスの乱れ、免疫系の異常など、何らかの病気が進行している兆候であるかもしれません。例えば、ある40代の女性は、仕事のストレスが原因だと思い込んでいた抜け毛に悩んでいました。しかし、同時にひどい倦怠感や冷え性、むくみも感じており、知人に勧められて病院を受診したところ、甲状腺機能低下症と診断されました。甲状腺ホルモンは代謝を司る重要なホルモンであり、その不足は全身に影響を与え、髪の成長サイクルも乱します。治療を開始した結果、体調が改善するとともに、抜け毛も徐々に落ち着いていきました。このケースは、抜け毛が全身疾患の一症状であった典型的な例です。また、若い男性が突然、頭皮に円形の脱毛斑が複数現れたケースもあります。彼は「まさか」と思いながら皮膚科を受診し、円形脱毛症と診断されました。円形脱毛症は自己免疫疾患の一種で、体の免疫機能が誤って自分の毛根を攻撃してしまうことで起こります。この男性の場合、特に全身症状はなかったものの、ストレスが引き金となった可能性も指摘されましたが、背景には体質的な免疫異常があったと考えられます。早期にステロイドなどの治療を受けることで、進行を食い止めることができました。さらに、極端なダイエットをしている女性に多く見られるのが、栄養不足による抜け毛です。これらの事例が示すように、抜け毛は単独で起こることもありますが、多くの場合、他の症状を伴います。抜け毛だけでなく、体調の変化(疲れやすさ、体重の変化、皮膚の異常など)にも注意を払い、気になる症状があれば迷わず医療機関を受診することが肝心です。皮膚科や内科で適切な検査を受けることで、抜け毛の真の原因を突き止め、必要な治療へと繋げることができるでしょう。
抜け毛が示す体の異変