思い返せば、私が自分の薄毛を気にし始めたのは三十代後半でした。最初は気のせいかと思っていたけれど、鏡に映る分け目の広がりや、お風呂の排水溝に溜まる髪の毛の量を見るたびに、言いようのない不安と焦りに襲われました。それからは、常に髪のことばかり考えていたように思います。電車で前に座っている人の視線が気になる、風が吹くと髪型が崩れるのが怖い、帽子が手放せない…。友達との会話中も、相手が自分の頭を見ているような気がして、心から楽しめませんでした。ネットで薄毛に関する情報を漁っては一喜一憂し、高価な育毛剤を試しては効果が出ずに落ち込む、そんな日々が続きました。完全にストレスの悪循環にはまっていたのです。そんな私が変わるきっかけになったのは、ある日、勇気を出してAGA専門クリニックのカウンセリングを受けたことでした。医師は私の話をじっくりと聞き、頭皮の状態を診察した上で、「AGAですね。でも、今は良い治療法がありますから、諦める必要はありませんよ」と穏やかに言ってくれました。そして、治療法の選択肢や効果、副作用について、丁寧に説明してくれたのです。専門家から客観的な診断と、具体的な治療方針を示されたことで、漠然とした不安が、具体的な目標へと変わりました。もちろん、治療を始めたからといってすぐに髪が生えてきたわけではありません。でも、「自分は今、正しい対策をしているんだ」という安心感が、私を支えてくれました。それと同時に、考え方も少しずつ変わっていきました。「髪の量は自分の価値とは関係ない」「髪以外の自分の良いところに目を向けよう」と意識するようになったのです。不思議なもので、気にしすぎるのをやめたら、以前ほど他人の視線も気にならなくなり、気持ちがとても楽になりました。今でも治療は続けていますが、以前のように髪のことばかり考えるのではなく、趣味を楽しんだり、友人と心から笑い合ったりする時間が増えました。薄毛の悩みから完全に解放されたわけではありませんが、ストレスに縛られず、前向きに過ごせるようになったことが、私にとって一番の収穫だったと感じています。
— AGA —
気にしすぎていた私、薄毛ストレスから解放された体験
2024年8月17日